読売新聞「栃木の企業力」で掲載されました。

谷 八 
観光地の食に商機あり

谷津社長、長谷川室長

もちもちロールを手に意見を交わす
谷津社長(右)と長谷川室長

インターネット通販で人気の洋菓子「もちもちロール」の販売数が、2005年の開始から累計1300万本を超えるヒット商品になった。小麦粉や米粉など8種の粉を使った生地が、もっちりとした独特の食感を生み出す。生クリームをまいた小型ロールケーキで、1本350円。テレビの情報番組などが昨年取り上げ、人気が広がった。農林水産省の「世界が認める輸出有望加工食品40選」に今年5月選ばれた実力派だ。

 「日光の社寺」に近い日光市久次良町に本社を置く食品企画製造卸売業「谷八(たにはち)」が、08年に宇都宮市内に新設した洋菓子工場で製造する。三代目の谷津友章社長(32)は「ネット通販会社からの受注が相次いでいる」と手応えをつかむ。

 土産用せんべいなど製造卸を祖父が創業したのは1957年。観光業に軸足を置き、取り扱い商品や取引先を増やしながら、商機を拡大してきた。父で二代目の光彦会長(62)は土産物の製造卸に加え、80年から地元のホテルや旅館、ドライブインの料理向けに業務用食材を販売し、取引先を県内約300社に広げた。三代目は96年に20歳で入社し、2007年から社長を務める。

 入社の際、父に「3年だけ時間をやる」と言われ、全国の観光地を回って土産物店や宿泊施設、レストランなどへ飛び込み営業を続けた。「日光で支持されている食材は、全国どこでも通用する」と思ったという。注文が入り始めたのは2年目から。取引先は現在約4000社に達している。その中には菓子のネット通販業者も含まれている。

 「日光名産のゆばを使って新しいメニューを作りたい」。「温泉をイメージしたカマボコがほしい」。取引先の難題にも丁寧に応えるのがモットーだ。新企画の芽があるからだ。

 「料理バイキング用に、うちだけのケーキやデザートを作ってほしい」という取引先の声が増えたのを受けて、洋菓子部門の強化を決めたという。04年に委託工場で生産を始め、07年に自社洋菓子ブランド「ブランネージュ タニハチ」を作り、洋菓子職人をスカウトして態勢を整えた。

 08年稼働の新工場には、最小限の製造装置しかなく、手作りの方針を貫く。長谷川聖治・企画開発室長(61)は「洋菓子の流行の変化は早く、設備投資をしてもリスクが大きい。むしろ、手作りで質の高い菓子を作ることにこだわりたい」と説明する。すしケーキや特大シュークリームなど独創的な商品開発も進める。

 売上高は、業務用食材などの卸部門が8割、洋菓子などの製造部門が2割で、利益幅の大きい製造部門を5割まで引き上げる目標だ。

 顧客を全国に広げる一方、本拠地・日光へのこだわりも強い。観光関連の取引先は今も6割が日光地区。ネット通販を中心に流通展開する「もちもちロール」も、市内のホテルや旅館にはデザート用で出荷する。日光ゆばや栃木ヤーコンを使ったジェラート、ゆば豚まんなど観光客向け商品も堅調だ。谷津社長は「日光地区の食品製造卸を基盤としながら、全国展開を進めることが私の役割」と話す。(高松秀明)

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 1957年に故谷津善三氏が観光土産品の製造卸売業「谷津商店」を創業。63年に有限会社「谷八」を設立、80年に株式会社化した。資本金2000万円。従業員はパートを含めて50人。株式会社谷八グループ全体180名(パート含む)
(読売新聞)



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